厚生労働省が7日発表した毎月勤労統計の9月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は27万9304円(前年同月比1.2%増)で21カ月連続のプラスとなった。しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)は81.7(同2.4%減)で18カ月連続のマイナスとなり、1年半に及ぶ長期のマイナスが続いている。
マイナス幅は1月の同4.1%を最大に、その後は2~3%前後で推移。春闘の賃上げ効果の出る5月は一時的に0.9%に縮小したが、6月に1.6%と再び拡大し、7月は2.7%、8月も2.8%(速報値)と拡大幅を広げている。9月も2%台のままで、プラス転換は厳しい状況。10月から最低賃金(最賃)の大幅引き上げが始まったことから、今後はマイナス幅の縮小が期待される。
基本給など所定内給与は25万2781円(同1.5%増)で、残業代などの所定外給与は1万8795円(同0.7%増)だった。雇用形態別の総額は、正社員が中心の一般労働者は36万3444円(同1.6%増)、パートタイム労働者は10万2135円(同1.9%増)だった。
産業別で伸びが目立ったのは、「不動産・物品賃貸業」の34万6803円(同6.5%増)や「金融・保険業」の40万5357円(同5.8%増)程度。一方、「鉱業・採石等業」は32万4081円(同10.5%減)、「飲食サービス業等」も11万8650円(同2.9%減)のマイナスとなった。
月間総実労働時間は136.8時間(同0.3%減)で3カ月連続のマイナスに。月末の常用労働者数は5254.4万人(同1.9%増)で、パートタイム比率は32.29%(同0.61ポイント増)だった。