帝国データバンクが2日発表した「全国タクシー・ハイヤー業界」動向調査によると、過去10年間の従業員数が判明した2428社(23年8月時点)のうち、従業員が減少した企業は地方都市を中心に69.7%に達したことがわかった。減少の度合いは「2~5割未満」が36.7%、「2割未満」が18.5%、「5割以上」が14.5%で、1割以上の企業で人員が半減していたことになる。
1社あたりの従業員数は13年当時の66人から23年は52人になり、22年の損益状況も「赤字」企業が46.7%で、「増益」の43.1%を上回った。コロナ禍当時の20年は80.9%が「赤字」だったが、その後は損益も徐々に回復している。しかし、従業員は年々減少の一途をたどり、人員削減をしても赤字体質から抜け出せない企業が多いことをうかがわせる。
コロナ禍以後は移動制限の緩和や観光回復などによる需要増が急速に高まっており、料金の値上げに踏み切った企業も多いものの、転職・離職したドライバーら従業員が戻ってこないうえ、若手の穴埋めも困難なことから、稼働率が下がっている企業も多いという。同社は「今後は人手確保に向け、勤務体系や福利厚生面での柔軟な対応が必要になる」と分析している。