厚生労働省が6日発表した毎月勤労統計の8月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は28万2700円(前年同月比1.1%増)で20カ月連続のプラスとなった。しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)は83.0(同2.5%減)で17カ月連続のマイナスとなり、賃金上昇の勢いは弱い。
マイナス幅は1月の同4.1%を最大に、その後は2~3%前後で推移。春闘の賃上げ効果の出る5月は一時的に0.9%に縮小したが、6月に1.6%と再び拡大し、7月は2.7%、8月も2.5%(いずれも速報値)と賃上げ効果が浸透していない状況が浮かび上がっている。
基本給など所定内給与は25万1463円(同1.6%増)で、残業代などの所定外給与は1万8619円(同1.0%増)、ボーナスなどの特別給与は1万2618円(同5.4%減)だった。雇用形態別の総額は、正社員が中心の一般労働者は36万6845円(同1.2%増)、パートタイム労働者は10万3312円(同2.9%増)だった。
産業別で伸びたのは、「不動産・物品賃貸業」の33万9182円(同5.8%増)と「金融・保険業」の39万7978円(同5.7%増)の5%台にとどまり、「鉱業・採石等業」は36万5046円(同17.4%減)、「学術研究等」も40万410円(同2.7%減)のマイナスとなった。
月間総実労働時間は132.3時間(同0.0%)の横ばい。月末の常用労働者数は5249.6万人(同1.8%増)で、パートタイム比率は31.94%(同0.09ポイント増)だった。