東京商工リサーチは25日、新型コロナ対策の雇用調整助成金(雇調金)の不正受給が8月末時点で670件(667社)、206億7947万円に達した、と発表した。6月に発表した前回調査から151件が追加されており、不正受給が後を絶たない実態が浮かび上がった。全国の労働局が公表したものを集計した。
不正受給の内訳は雇調金だけの受給が359件の約半数を占め、パートなど雇用保険対象者ではない従業員の休業に支給された緊急雇用安定助成金の不正が111件、両助成金の受給も200件あった。産業別では飲食業などのサービス業が多数を占めた。
雇用維持を目的にした雇調金などは支給基準が大幅緩和された特例措置により、20年4月~23年3月に延べ6兆3507億円が支給決定された。政府は不正発覚や申請の誤りなどを対象に、6月末時点で1852件について338億6000万円を取り消しているが、不正が後を絶たないことから、遡及調査や企業名公表などのペナルティーを強化している。