厚生労働省によると2023年度の都道府県別最低賃金(最賃)が18日に出そろった。改定額の全国加重平均は1004円となり、中央最低賃金審議会が7月に示した「目安」の1002円(41円アップ)を上回り、前年の961円から43円アップする大幅引き上げとなった。1978年度に目安制度が始まって以来の最高額。10月1日以降、順次適用されるが、人件費対策に追われる企業が続出しそうだ。
目安額は時給の高い順にAランク(東京都など6都府県)、Bランク(北海道など28道府県)、Cランク(青森など13県)に分かれ、今年の目安額はAが41円、Bが40円、Cが39円となっていた。
しかし、引き上げ額が最も大きかったのは47円の島根、佐賀両県で、島根は857円から904円、佐賀は853円から900円に上がる。佐賀と同様に、時給が最も低い853円の地域では、沖縄県が43円増の896円、秋田県や宮崎県などが44円増の897円、青森県や長崎県などが45円増の898円にそれぞれ改定される。今回は39円の引き上げにとどまった岩手県は、893円の最低水準になった。
一方、1072円の東京は41円増の1113円と改定後も最も高く、次いで1071円の神奈川は41円増の1112円に上がる。これに埼玉、千葉、愛知、京都、大阪、兵庫の6府県も1000円を超えるなど、昨年の3都府県から8都府県に一挙に拡大することになり、「最賃1000円時代」に本格突入した。
今回の大幅引き上げに対して、最賃水準の非正規従業員らを多く抱える企業は人件費の確保に頭を痛めることになる。また、働く側も、賃金上昇に伴う社会保険料の負担を嫌って就業時間を減らす「年収106万円の壁」などがあることから、岸田首相が「10月から支援パッケージを実施する」と表明するなど、官民挙げて対策に追われそうだ。
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