厚生労働省が9日発表した2021年度労働者派遣事業報告書(4万3042事業所、速報)によると、派遣労働者数は209万2305人(前年度比8.6%増)と大きく増えた。内訳は無期派遣が77万5804人(同8.8%増)、有期派遣が131万6501人(同8.5%増)、登録者数は719万8970人(同5.0%増)だった。有期派遣が前年度のマイナスからプラスに転じた。派遣先件数は75万409件(同0.1%減)、売上高は8兆2363億円(同7.7%増)と3年連続の増加となった。
派遣料金(8時間換算)は平均2万4461円(同1.1%増)で、内訳は無期派遣が2万5449円(同0.7%増)、有期派遣が2万354円(同1.7%増)とどちらも微増。派遣労働者の賃金(同)も平均1万5698円(同0.7%増)で、同様に無期が1万6231円(同0.5%増)、有期が1万3409円(同1.3%増)で、前年と同様にどちらも伸びた。
21年度はコロナ禍が続いたものの、政府が雇用調整助成金の支給要件緩和などを通じて、企業側に派遣労働者を含む雇用維持を強く働きかけた。企業側も派遣需要は衰えず、雇用数も賃金も少し増える結果となった。
改正法による雇用安定措置については、対象労働者103万8464人のうち、第1号(派遣先への直接雇用)を講じた人数は7万2908人で実際に雇用されたのは2万7632人。第2号(別の派遣先)は49万4824人、第3号(派遣元での無期雇用)は1万5596人、その他は6万5755人。また、キャリアアップ向け教育訓練を受けた人は延べ約313万人だった。
報告書の集計の精度を高める観点から厚生労働省は、(1)売上高について法人全体のものを報告している可能性のある事業所(2)派遣労働者の人数に比べて売上高が大きい事業所――について誤りがないか各事業所に確認。これに伴う修正を過去にさかのぼって実施した。
22年6月時点の派遣労働者、1割増の186万人
一方、厚労省が同日発表した2022年6月1日時点の労働者派遣事業報告(速報)によると、派遣事業所は4万3080事業所(前年比1.5%増)、派遣労働者数は186万1574人(同10.4%増)だった。そのうち、無期雇用が74万6661人(同10.3%増)、有期雇用が111万4913人(同10.4%増)となり、無期、有期ともに二ケタ増えた。
このうち、製造派遣は41万1664人(同14.0%増)で、内訳は無期雇用が15万5728人(同13.4%増)、有期雇用が25万5936人(同14.4%増)。日雇い派遣は3万5107人(同16.0%増)だった。