厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会(藤村博之会長)の目安小委員会は28日、2023年度の最低賃金(最賃)の引き上げ幅を全国加重平均で4.3%アップの41円とすることを決めた=写真。引き上げ幅は過去最大で、現在の961円から1002円に引き上げられる。物価高が家計をひっ迫していることなどを重視し、政府目標だった1000円の大台に乗せた。
同委員会は一昨年に3.1%・28円、昨年も3.3%・31円の大幅アップを決定。今回も消費者物価の上昇で実質賃金がマイナスになっている状況などを踏まえ、3年連続の大幅アップに踏み切った=グラフ。
これを受けて、都道府県ごとの審議会で引き上げ額を決定し、10月をメドに全国で新たな最賃が適用される。47都道府県を経済情勢に応じてA~Cの3ランクに分け、Aは41円、Bは40円、Cは39円とした。現在、最も高い東京都は1072円、神奈川県が1071円、大阪府が1023円で、最も低いのは青森県、熊本県、沖縄県などの853円となっている。
加藤勝信厚労相はこの日の記者会見で「骨太の方針などで、今年は全国平均1000円を達成するとしている。賃上げの流れを維持拡大し、非正規雇用労働者や中小企業にも波及させていくには最低賃金による底上げが必要で、実質賃金をプラスにしていくことが重要」と述べ、労使の真摯な議論に期待していた。