パーソル総研が10日発表した「精神障害者雇用の現場マネジメント調査」によると、企業による精神障害者の雇用は増えているものの、能力の発揮よりも法定雇用数の確保を優先しがちな企業の多いことがわかった。
企業調査では直近5年間で雇用した障害者のうち、「増えた」が最も多かったのは精神障害者の33.8%で、身体障害者の28.1%を上回った。しかし、雇用ノウハウの蓄積になると、「蓄積途上」と「手探り状態」を合わせると精神障害者が過半数の50.7%を占め、身体障害者の51.4%、知的障害者の46.8%を上回った。
障害者に対する調査では、「職場の配慮を受けながら総合職レベルの仕事をしたい」や「同一般職レベルの仕事をしたい」と望んでいる人がほとんど。しかし、実際に総合職の人の割合は34.4%、一般職の人の割合は25.8%に過ぎず、身体障害者の各58.0%、36.8%よりかなり低い。年収も精神障害者の各299万円、290万円に対して身体障害者は各419万円、350万円だった。精神障害者には短時間勤務が多く、勤怠・パフォーマンスが不安定になりがちなことが要因とみられる。
企業側にとっても、精神障害者の雇用は他の障害者に比べて採用時の見極め、就労の不安定、現場対応などで課題感が強いものの、「適切な治療を受けていれば、就労できる人は多い」「障害の治療のために就労機会を与えることは有益」と考えている企業も多いことから、同社は「雇用管理方法の明文化、休暇の取得を容易にするなど、柔軟な環境を整備することで定着度・活躍度は高まるはず」としている。
調査は1月19~2月9日に実施。障害者を3人以上雇用する企業や特例子会社など746社、精神障害者205人を含む障害者883人の有効回答を集計した。