ニュース記事一覧へ

2023年6月27日

男性育休、取得希望と実態に大きなギャップ 「男性正社員主義」が壁、パーソル総研調査

 パーソル総研が27日発表した「男性育休に関する定量調査」によると、子供のいない男性会社員の7割前後が「子供ができたら育休を取りたい」と思っており、希望期間も6割以上が「1カ月以上」を希望しているものの、企業調査では過去3年間の平均取得率5%未満が約半数に上り、取得期間も「1カ月未満」が6割と、両者の間に大きなギャップのあることがわかった。

 実際の取得率は「0%」の企業が22.3%、「1~5%未満」が26.4%で合わせると48.7%と半数近くに。0%は社員300人以下の中小企業が7割以上を占めている。「50%以上」の企業は19.5%にとどまっている。期間も「1週間未満」が28.0%、「1週間以上~1カ月未満」が32.5%の計60.5%に上った。

 育休取得にあたっての懸念としては「同僚に迷惑がかかる」「収入減」を挙げる男性が多く、女性に比べると「上司がいい顔をしない」と答える男性も多かった。

 こうした結果について同総研シンクタンク本部の砂川和泉氏は「日本の育休は制度面では世界のトップクラス」としたうえで、制度と実態の大きなギャップについて「男性優遇の昇進構造が企業社会の根底にあるため」と分析。戦後定着した男性中心の「無限定正社員」が普及を阻んでおり、企業は「社員の早期育成・早期選抜」「限定的な働き方とキャリア形成との両立」を図ることが中長期取得のカギになる、と提言している。

 調査は従業員、企業とも1~2月に実施。従業員は20~50代の男女正社員約3000人、企業は800人を対象にした。

PAGETOP