日本人材派遣協会(JASSA・川崎健一郎会長)は21日、オンライン形式で2023年度定時総会を開き、派遣社員の待遇や働き方の変化をとらえた情報提供や、派遣社員向けのセミナーを新たに開催してキャリアに関する意識醸成に取り組むことを確認した。
総会で川崎会長は「政府は骨太の方針で『人への投資』を最優先とし、多様な就業機会の提供と円滑な労働移動を重要課題に掲げている」と指摘。「人材のプロフェッショナルである私達は働く人々が将来への展望を描くことを支援するキャリアコンサルティングや、ITなどの成長産業への労働移行を促すリスキリングをはじめとしたキャリア形成支援、そして多様な働き方と就業機会の提供といった取り組みを通じて多くの人々がいきいきと幸せを感じながら働ける環境の構築に大きな役割を果たすことができる」と強調した。
23年度事業では、コンプライアンス支援の「労働関連法令セミナー」「JASSAリーガルテスト」、キャリア形成支援関連事業の「JASSAキャリアカレッジ」「キャリアカウンセリングスキルアップセミナー」「メンタルヘルス推進セミナー」などを拡充。加えて、就業機会の確保につながる効果的な関わり方について把握・分析し、会員企業の実務に資する情報提供と派遣社員を対象にしたキャリアセミナーによって自律的なキャリア形成を支援する方針だ。
総会後の特別セミナーでは、厚生労働省需給調整事業課の篠崎拓也課長が「労働市場政策の課題と人材ビジネス」と題して講演。女性・高齢者、外国人材の活躍、デジタル化への対応、外部労働市場と内部労働市場の活性化などについてデータを交えて解説し、最近の労働政策の要所を説いた。そのうえで、派遣業界には人手不足が続く日本におけるマッチングや労働生産性向上につながる事例の発信に期待を寄せた。