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2023年6月13日

事業価値向上へ「未来プロジェクト」創設、人材協の23年度総会 

n230613.jpg ホワイトカラーを中心とした民間職業紹介の事業者団体・日本人材紹介事業協会(林徹郎会長)は13日、東京都内で2023年度定時社員総会を開いた=写真。人材紹介ビジネスの事業価値の向上に向けた事業者のあるべき姿や人材協のあり方、会員への支援機能などを検討する「未来プロジェクト」を創設し、時流をつかみながらレベルの高い的確なマッチングに磨きをかけていくことを確認した。

 総会で、林会長は「業況は堅調に推移し、コロナ禍前を超える過去最高をたたき出しているが、不安定な国際情勢によるリスクもある」と引き締めたうえで、「政府肝いりの『新しい資本主義』にはリスキリングによる能力向上支援や成長分野への労働移動が盛り込まれている。労働移動の支援は本業だが、リスキリングによる求職者のスキルアップは新たなビジネスチャンスになる可能性がある」と強調した。

 23年度の目玉事業となる「未来プロジェクト」の創設は、職業安定法に基づく許可事業の職業紹介事業とそれ以外の雇用仲介事業が近似していることが背景にある。この状況はAIの進化と併せて今後さらに発展する可能性もあることから、2年間にわたって議論を深める方針だ。このほか、本年度は職業紹介事業がアフター・コロナの経済社会に求められる対応を念頭に、(1)雇用問題に造詣の深い有識者との連携強化(2)ブロック会・地域活動の活性化と会員拡充、(3)ビジネスモデルが共通する会員同士による課題検討や相互交流の積極展開――などを推し進める。

 また、特筆される動きとして、前年度にスタートした厚生労働省の委託事業「医療・介護・保育分野における職業紹介事業の適正化」に伴う認定制度と、見直し期間として1年間休止していた「職業紹介優良事業者」の認定制度の2つの認定事業を運営する。

n230613_2.jpg 総会後の講演では労働政策研究・研修機構の樋口美雄・研究総監(慶大名誉教授)が「労働力人口減少下の内部労働市場・外部労働市場~人材ビジネス・サービスの役割」と題して講演した=写真。始めに、樋口氏は少子化に伴う労働人口の減少について、「他の先進国では議論してきたのに、日本は正面からの議論を避けてきた」と指摘。そのうえで、「景気が多少上下しても、求人倍率はそれほど変わらないだろう」と述べ、人手不足は構造的なものとの認識を示した。

 対応策として、人材の質量の向上が必要だが、量の拡大に期待される外国人の流入やDX人材の育成などには限界もある。内部労働市場における質の向上については、これまで企業が十分な人的投資を怠ってきたことが労働者のエンゲージメント(働きがい)の低さを招いた、と強調。公的支援によるリカレント教育・リスキリングの重要性を訴えた。また、外部労働市場については、人材紹介企業が単なるマッチングではなく、教育訓練のできる人材を選んで高スキル人材を育成・紹介できるかがカギになると提言。「優秀な人材が転職でき、その際には米国のように前職の上司の推薦状があるような環境も必要だ」と述べた。

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