厚生労働省が6日発表した毎月勤労統計の4月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は28万5176円(前年同月比1.0%増)で16カ月連続のプラスとなった。しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)は84.5(同3.0%減)で、3月の2.3%から再びマイナス幅を拡大、13カ月連続のマイナスとなった。
マイナス幅は、最も大きかった1月の同4.1%に次ぐ水準。今春闘で大幅賃上げを実施する企業が相次いだことから、4月以降はプラス転換する見通しも出ていたが、波状的な物価上昇に賃金アップは追い付いていない状況が浮き彫りになった。
基本給など所定内給与は25万3855円(同1.1%増)で、残業代などの所定外給与は1万9699円(同0.3%減)。雇用形態別では、正社員が中心の一般労働者は36万9468円(同1.1%増)、パートタイム労働者は10万3140円(同1.9%増)だった。
産業別で伸びたのは「不動産・物品賃貸業」の37万2909円(同14.3%増)で、「複合サービス業」が32万1796円(同7.4%増)、「飲食サービス業」も12万9476円(同6.3%増)と人手不足が深刻な業種が目立った。全16産業のうち13産業でプラスとなったが、「建設業」の37万3747円(同1.0%減)など、3産業はマイナスだった。
月間総実労働時間は141.0時間(同0.3%減)で、3カ月ぶりに減少。月末の常用労働者数は5198.7万人(同1.7%増)で、パートタイム比率は31.39%(同0.21ポイント増)だった。