厚生労働省が30日発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同じ1.32倍となった。求人倍率は2020年10月の1.04倍を底に上昇に向かい、途中、3回の横ばいを経て上昇基調を維持。21年10月の1.15倍以降、22年12月の1.36倍まで14カ月連続の上昇を続けてきたが、一部業種に求人数の減少傾向も出てきたことなどから、今年1月から3カ月連続で低下していた。
企業側の有効求人数約249万人(前年同月比2.8%増)に対して、有効求職者数は約200万人(同3.4%減)となり、昨年8月以来の求職者数の減少傾向が続いている。都道府県別(就業地別)では福井県の1.95倍が最高で、最低は神奈川県の1.10倍。
新規求人倍率は前月比0.06ポイント減の2.23倍だった。新規求人数(原数値)は前年同月比0.9%減で、産業別では宿泊・飲食サービス業が同8.2%増、情報通信業が同7.5%増と増えている一方、建設業は同9.6%減、製造業も同9.3%減に減っている。その他を含む全11産業のうち、6産業で増えたが、残る5産業で減少した。
また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント増の1.03倍だった。
建設業や製造業では人手不足による人件費増や原材料高などで求人を減らす動きが出ている一方、インバウンド需要に期待する宿泊・飲食サービス業などでは求人を増やす動きが顕著になっており、厚労省はこうした動きを注視している。
4月完全失業率は2.6%、3カ月ぶり低下
総務省が30日発表した4月の就業者数は6741万人で、前年同月比14万人増と9カ月連続の増加。完全失業者は190万人と同2万人の増加で、2カ月連続で増えた。
この結果、完全失業率(季節調整値)は前月比0.2ポイント低下の2.6%となった。昨年9、10月と2.6%だったが、11、12月2.5%に低下し、今年1月はさらに2.4%まで下がった。2月から2カ月連続で悪化していたが、再び2月と同じ水準に改善した。男女別では男性が前月比0.3ポイント低下の2.7%、女性も同0.1ポイント低下の2.4%だった。
形態別雇用者数では役員を除く雇用者5727万人のうち、正規従業員は3664万人で前年同月比13万人の増加、非正規従業員は2064万人で同6万人の減少。非正規の増加傾向が止まり、非正規比率も36.0%に低下した。
非正規の内訳はパートが1009万人(同9万人減)、アルバイトが421万人(同12万人減)、契約が287万人(同11万人増)、派遣が154万人(同4万人増)、嘱託が107万人(同5万人減)となり、パートとアルバイトが減った一方、契約の伸びが目立った。
一方、4月の休業者は166万人で前月比61万人減、前年同月比24万人減。3月末で雇用調整助成金の特例措置が全廃されたことから、休業者数も大きく減ったとみられる。