厚生労働省が29日発表した2022年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)によると、死者と休業4日以上の疾病者数(合わせて、死傷者数)は827人(前年比266人増)で、そのうち30人(同10人増)が死亡するなど、前年から大幅に増えた。死傷者は18年の1178人がピークだが、昨年は19年の829人並みの高水準にある。死者は13年の30人と並ぶ最多となった。
業種別では建設業が179人(同49人増)で最も多く、製造業も145人(同58人増)に増え、運送業は129人(同68人増)と2倍以上になった。
月別では7月が291人、8月が280人で全体の7割を占め、年代別では「45~49歳」が103人(同34人増)の最多。「55~59歳」が94人(同24人増)、「50~54歳」が93人(同28人増)で続き、全体の約半分が50歳以上だった。
死者はすべて男性で、予防に向けた労働衛生教育の実施や発生時の緊急措置などの周知をしていなかった事例が多かった。また、暑さ指数(WBGT、環境省)の把握を確認できない事例もあった。
厚労省は5~9月を「STOP!熱中症クールキャンペーン」として、労災防止団体などと連携して予防に取り組んでいるが、今夏は暑さが厳しくなるとの予想もあることから、7月を「重点取組期間」に指定して対策を強化する。