厚生労働省が28日発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント低下の1.32倍となった。求人倍率は2020年10月の1.04倍を底に上昇に向かい、途中、3回の横ばいを経て上昇基調を維持。21年10月の1.15倍以降、22年12月の1.36倍まで14カ月連続の上昇を続けてきたが、年明け1月から3カ月連続で低下している。
製造業などの景気がもたついているのに加え、雇用調整助成金の特例措置が昨年末で原則終了となったことなどが影響しているとみられる。特例措置は一部に経過措置が設けられたが、それも3月末で終了したことから、今後はさらに低下する可能性がある。
企業側の有効求人数約263万人(前年同月比4.9%増)に対して、有効求職者数は約194万人(同2.9%減)となり、昨年8月以来、依然として求職者数の減少が続いているものの、前月比では求職者の伸びが求人の伸びを上回ったため、求人倍率は下がった。都道府県別(就業地別)では福井県の1.89倍が最高で、最低は神奈川県の1.09倍。
新規求人倍率は前月比0.03ポイント減の2.29倍だった。新規求人数(原数値)は前年同月比0.7%増で、産業別では生活関連サービス・娯楽業が同8.3%増、宿泊・飲食サービス業が同5.9%増、卸・小売業が同3.1%増と増えている一方、製造業は同8.0%減、建設業が同6.3%減、運輸・郵便業が同1.1%減と減少。その他を含む全11産業のうち、7産業で増えた。
また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同じ1.02倍だった。
3月完全失業率は2.8%、2カ月連続の上昇
総務省が28日発表した3月の就業者数は6699万人で、前年同月比15万人増と8カ月連続の増加。完全失業者は193万人と同13万人の増加で、21カ月ぶりに増えた。
この結果、完全失業率(季節調整値)は前月比0.2ポイント上昇の2.8%となった。昨年9、10月と2.6%だったが、11、12月2.5%に低下し、1月はさらに2.4%まで下がったが、2月から2カ月連続で悪化している。男女別では男性が前月比0.1ポイント上昇の3.0%、女性も0.2ポイント上昇の2.5%。
形態別雇用者数では役員を除く雇用者5692万人のうち、正規従業員は3591万人で前年同月比8万人の減少、非正規従業員は2101万人で同23万人の増加。非正規の増加傾向が続いているが、非正規比率は36.9%となった。
非正規の内訳はパートが1031万人(同23万人増)、アルバイトが420万人(同28万人減)、契約が290万人(同14万人増)、派遣が163万人(同21万人増)、嘱託が116万人(同1万人減)となり、2月と同様にパートと派遣の伸びが目立った。
一方、3月の休業者は227万人で前月比22万人増、前年同月比16万人減。1、2月と減少が続いたが、3月は再び増えた。
22年度の有効求人倍率1.31倍、完全失業率2.6%
これらの結果、22年度の年間有効求人倍率は1.31倍(前年度比0.15ポイント増)と2年連続の上昇。上昇局面としては16年度の1.39倍に近い水準となった。
また、22年度の年間完全失業率は2.6%(同0.2ポイント減)となり、2年連続の低下。低下局面としては17年度の2.7%並みの水準となった。