2023年春闘は大手企業の集中回答日の15日、自動車や電機などで満額回答が相次いだ。日産自動車は労働組合が要求した月額平均賃上げの1万2000円に満額で回答、日立製作所、三菱電機、NEC、富士通もベースアップ(ベア)の月額7000円要求に満額回答した。川崎重工業もベア1万4000円要求に満額で答えた。
メーカー以外でも、牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーホールディングスは前年を2万円以上上回るベア2万6718円を回答した。優秀な人材確保が狙いで、基本給と合わせると3万2864円(9.5%)の大幅引き上げとなる。
歴史的な物価高や人材獲得競争の激化を受け、今年は集中回答日を待たずに回答する企業も多く、トヨタ自動車は労組要求の最高月額9370円、ボーナス6.7カ月分について満額回答した模様。同社は職種別要求で、回答は非公表。ホンダも月額1万9000円、ボーナスは年間6.4カ月分の満額回答。三菱自動車は月額1万3000円、SUBARUは同1万200円の満額回答をするなど、経営側の積極姿勢が鮮明となっている。
物価上昇の影響を差し引いた労働者の実質賃金は10カ月連続で減少が続いており、今回は労使ともに大幅賃上げの必要を訴える声が強かった。大手の回答を受け、今後は体力の弱い中小企業がどこまで賃上げ要求に応えられるかが焦点になる。