障害者雇用を手掛けるパーソルチャレンジが22日発表した2023年「障害者労働市場の傾向」によると、企業の障害者雇用数は毎年増え、22年は約61万人となった。しかし、大企業の実雇用率の2.48%に対して、中小企業は2.06%と法定雇用率の2.3%を下回った。大企業が14年以降、法定雇用率を上回っているのに対して、中小企業は00年から法定雇用率を下回り続けている。従業員1000人以上を大企業、1000人未満を中小企業に区分し、厚生労働省の「障害者雇用状況」を基に試算した。
それによると、22年に雇用義務のある企業は大企業の3475社に対して、中小企業は10万4216社と、企業数では中小企業が大企業の約30倍に上る一方、雇用数はどちらも約30万人で"二等分"している。障害者雇用は大企業に集中しており、同社は「この傾向は過去20年にわたって変わっていない」と分析している。
23年度から法定雇用率は現行の2.3%から段階的に引き上げられ、26年7月からは2.7%になる。この場合、雇用義務が生じる企業は現在の従業員約43人から約37人規模に拡大する。また25年度から除外率制度の対象企業が減ることもあって、27年度には大企業が約3650社、中小企業が約13万社に増える。同時に、中小の未達成企業数も増え、22年度の約5万4000社から27年度には約6万9000社と1.2倍程度に増えると予想している。企業全体の近年の達成率は48%前後で推移しており、上昇の気配はない。
同社は「障害者雇用をコストでなく投資と考え、そのためには障害者個人、企業、行政、地域という四つの視点から総合的に捉え直す必要がある」と提言している。パーソルグループでは現在、2420人の障害者を雇用しているが、25年には4200人程度まで増やす計画。