東京商工リサーチが20日発表した2023年度「賃上げに関する調査」によると、今春闘で賃上げを予定している企業は80.6%に上っているが、大企業が85.5%なのに対して中小企業は80.0%と差があることがわかった。
実施予定企業に賃上げ率を聞いたところ、「3%以上~4%未満」が最多の29.9%を占め、次いで「2%以上~3%未満」が23.4%、「5%以上~6%未満」が20.2%と続いている(回答2104社)。連合の目標である「5%以上」を予定している企業は3割以下の29.2%にとどまっている。ただ、昨年10月当時の調査では「5%以上」がわずか4.2%だったことを考慮すると、その後の物価上昇や官民の賃上げ機運を企業側も意識していることがうかがわれる。
賃上げを実施しない企業に理由を聞いたところ(複数回答)、「コスト増分を十分に価格転嫁できていない」が58.0%を占め、「電気代が高騰」の46.4%、「受注の先行き不安」が45.9%で続いた。
一方、非正規従業員の賃上げを予定している企業は55.7%に過ぎず、正社員と大きな開きがみられた。21年度から「同一労働同一賃金」制度が中小企業にも適用されていることから、政府などによる賃上げ圧力の強まりは必至だ。
調査は1~8日に実施、4465社の有効回答を集計した。資本金1億円以上を「大企業」、同1億円未満を「中小企業」に分類している。