労働政策研究・研修機構の第124回労働政策フォーラム「日本の人事制度・賃金制度改革」が6、9日両日にオンラインで開かれた。6日は同機構主催の2022年度労働関係図書優秀賞を受賞した法政大学キャリアデザイン学部の梅崎修、香川大学経済学部の青木宏之両教授が記念講演した。
梅崎氏は「熟練・分業論から見た人事制度改革の方向性」、青木氏は「日本の経営・労働システム」と題して講演。梅崎氏は、評価のむずかしいホワイトカラーの「知的熟練度」の新たな概念を示唆。青木氏は、経営管理目標などに関する歴史経緯を踏まえて、労働技能と経営管理体系の間に生じる乖離の改善法について解説。両氏とも、メーカーにおける綿密な聞き取り調査を通じて理論構築したもの。
9日の事例紹介では、みずほフィナンシャルグループの人見誠人事業務部長、リクルートスタッフィングの中西敦人事部長が、各社の取り組みを紹介。パネルディスカッションでは両教授も交えてやり取りが展開された。
人見氏はグループ5社共通の人事設計として、「役割グレード制」と「役割給」を組み合わせた新たな試みを説明。中西氏も「ミッションスタイル」と「ジョブスタイル」を組み合わせた「グレード制」を解説。どちらも、従来の職能制に職務制の色彩を強めた人事評価方法で、組織のフラット化を図った先進的な試みだが、具体的な賃金制度について言及はなかった。