厚生労働省が31日発表した昨年12月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同じ1.35倍となった。1月から10月まで10カ月連続の上昇が続いたが、それ以降は10、11、12月と3カ月連続の横ばいで推移している。基調としては一昨年5月以降、2度の横ばいをはさんで20カ月連続の"高止まり"となっている。上昇局面としては2016年半ばの水準。
企業側の有効求人数約254万人(前年同月比7.9%増)に対して、有効求職者数は約175万人(同6.5%減)となり、8月以降、求職者数の減少が続いている。都道府県別(就業地別)では福井県の1.94倍が最高で、最低は神奈川、沖縄両県の1.08倍。7月以降、全都道府県で1倍を超えている。
新規求人倍率は2.39倍で前月比0.03ポイントの低下。新規求人数(原数値)は前年同月比4.8%増で、産業別では生活関連サービス・娯楽業が同18.5%増、その他サービス業が同7.9%増、宿泊・飲食サービス業が同6.9%増など、行動規制の大幅緩和に伴う営業の本格再開を反映している。一方、建設業は同6.2%減と再びマイナス、製造業も同0.1%減となった。
また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント減の1.03倍となった。
12月完全失業率、2カ月連続の2.5%
総務省が31日発表した昨年12月の就業者数は6716万人で、前年同月比10万人増と5カ月連続の増加。完全失業者は158万人と同15万人の減少で、18カ月連続の減少となった。
この結果、完全失業率(季節調整値)は前月と同じ2.5%となった。9、10月と2.6%だったが、11月は再び低下し、2カ月連続の横ばいとなった。男女別では男性が前月比0.1ポイント低下の2.7%、女性は横ばいの2.2%になっている。
形態別雇用者数では役員を除く雇用者5714万人のうち、正規従業員は3571万人で前年同月比4万人減少、非正規従業員は2144万人で同35万人の増加となり、非正規の増加が顕著だ。非正規率も37.5%で前月より0.3ポイント上がった。
非正規の内訳はパートが1044万人(同24万人増)、アルバイトが468万人(同1万人減)、契約が285万人(同7万人増)、派遣が153万人(同1万人増)、嘱託が111万人(同3万人増)となり、パートの伸びが目立った。
一方、12月の休業者は232万人で前月比45万人増、前年同月比42万人増となり、10月以降、3カ月連続で前年を上回り、増加数も拡大している。
22年有効求人倍率は1.28倍、完全失業率は2.6%
厚労省が31日発表した2022年の年間有効求人倍率は1.28倍(前年比0.15ポイント上昇)となった。19年は1.60倍の高水準だったが、コロナ禍で20年が1.18倍、21年が1.13倍に急落。行動制限の緩和によって22年にようやく回復に転じ、4年ぶりの上昇となった。
有効求人数は約247万人(同12.7%増)に対して、有効求職者数は約194万人(同0.7%減)。企業の求人が大きく伸びた一方で、求職者は3年ぶりの減少に転じており、サービス業を中心に企業側は賃上げなどの人手不足対策を迫られそうだ。
新規求人倍率も2.26倍(同0.24ポイント増)に上昇。新規求人数の約87万人(同10.8%増)に対して、新規求職者数は約38万人(同1.0%減)。就職件数は約10万件(同3.3%減)となり、就職率は26.5%(同0.6ポイント減)と再び低下した。
一方、総務省によると、22年の平均完全失業率は2.6%(前年比0.2ポイント減)となり、3年ぶりに低下した。男性が2.8%(同0.3ポイント減)、女性が2.4%(同0.1ポイント減)でどちらも低下し、完全雇用状態に近づいている。
就業者は6723万人(同10万人増)と2年連続の増加で、完全失業者は179万人(同16万人減)と3年ぶりの減少となった。雇用者のうち正規従業員は3597万人(同1万人増)と8年連続の増加、非正規も2101万人(同26万人増)と3年ぶりの増加となった。非正規比率は36.9%で前年から0.2ポイント上昇した。また、非労働力人口は4128万人(同43万人減)と2年連の減少となり、「国民皆就労」の傾向が強まっている。