日本人材派遣協会(川崎健一郎会長)は20日、「2023年新春セミナー」をオンラインで開き、それに合わせて「派遣社員WEBアンケート調査」結果を発表した。
それによると、労働契約は「有期」が71.7%、「無期」が24.6%。時給は関東など3大都市圏で平均1621円(前年比13円増)、それ以外の地域で平均1348円(同20円増)と増えている。派遣前の就労は正社員が86.5%、パートなどの有期が71.3%(複数回答)。
現在の派遣会社を他人に勧めるかどうか10点方式で聞いたところ、9~10点が22.4%、7~8点が33.5%で計55.9%に上り、勧めない傾向の高い0~6点の44.2%を上回った。しかし、派遣就労一般を勧めるかどうかについては7~10点の39.4%に対して、0~6点が60.5%と逆転した。
調査は22年10月3日~11月14日に実施、派遣社員3493人の回答を集計した。91.2%が女性だが、年代層は50~55歳未満が最多の23.4%で、50代が36.3%、40代が33.5%を占め、平均では46.3歳(同0.6歳増)と"高齢化"していることがわかった。
リスキリング、キャリアアップと課題サマ変わり 新春セミナー
この結果について、パネルディスカッション(進行役、佐藤博樹中央大大学院教授)では川崎会長(アデコ社長)▽猪又明美氏(東洋ワーク社長)▽大原博氏(ビッグアビリティ社長)▽阪本耕治氏(スタッフサービスホールディングス社長)の4人が登壇。「派遣業界への期待にこたえるために」とのテーマで議論した=写真。
同調査によって、人材派遣業界が「女性の家庭生活との両立のための就労」から、現在は派遣社員のリスキリング、キャリアアップという高度な課題を抱えていることから、佐藤教授は「業界も一層の工夫を」と指摘。これに対して、大原氏は「スキルアップと就労を結び付けることのできるのは派遣だけ。これをもっと認知してもらうような努力が必要」と説明した。
阪本氏は「派遣は希望する条件の仕事が選べるという点から、今では高齢者の就業も多く、多様化している。派遣の仕組みを使って新人でも仕事を選べるメリットを強調したい」と述べた。猪又氏は「女性が家庭の事情などで仕事を辞めても、派遣でまた就労できることのメリットは大きい」と強調し、川崎氏は「日本は派遣就労に対するイメージの改善を図ることが重要課題」と述べた。
(2023年1月24日更新)
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