経団連は17日、今春闘の経営側指針「経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」を発表した。急激な物価上昇を「特に重視」するよう加盟企業に要請し、賃上げを「企業の社会的な責務」と訴えた。消費増税時以外で「物価動向を特に重視」と言及したのは極めて異例。
賃上げ方法については、ベースアップに加えてインフレ手当や物価対応手当の新設、物価高に応じた賞与・一時金の加算などを挙げ、「自社の実情に適した方法」で実施するよう求めている。
日本経済研究センターが集計した民間エコノミスト33機関の賃上げ予想率は高位が3.29%、低位が2.49%で平均2.85%と連合が要求する「5%程度」に比べてはるかに低い。大企業の中には物価上昇率の4%程度を上回る賃上げを表明している企業も出ているが、体力のない企業との賃金格差が拡大する可能性が高まっている。