東京商工リサーチが11日発表した2022年「老人福祉・介護事業」の倒産状況によると、介護事業者の倒産は143件、負債総額221億3800万円といずれも過去最多を更新した。コロナ禍に加え、物価上昇によるコスト増が要因。
事業者の内訳件数は「通所・短期入所介護」が最多の69件で、「訪問介護」が50件、「有料老人ホーム」が12件など。デイサービスの「ステップぱーとなー」(東京都台東区)とグループ会社31件の連鎖倒産が響いた。
介護事業者の倒産は16年以降、増加基調が続き、20年には118件の過去最高を記録。21年はコロナ関連の資金繰り支援などで81件に減少したものの、22年は物価上昇に伴うコスト増加が加わり、経営が行き詰まる事業所が続出した。介護報酬は公定価格のため、介護サービス料金の引き上げがむずかしいことも背景にある。
同社は、「介護報酬は大幅なプラス改定の可能性が低く、報酬単位の加算が取れない事業者の淘汰は避けられない。自動化や効率化によるコスト削減や人材獲得が優位な大手と、難しい小規模事業者の格差が拡大すると、23年の倒産は増勢がさらに強まる可能性が高い」と警告している。