厚生労働省が6日発表した毎月勤労統計の10月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたりの現金給与総額は27万5888円(前年同月比1.8%増)で10カ月連続のプラスだった。
しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(2020年=100)は83.1(同2.6%減)で、4月以降7カ月連続のマイナスとなった。マイナス幅は2014年当時の2.8%減の水準に近く、物価上昇に対して賃金の上昇が追いつかない局面が拡大している模様だ。
就労形態別の現金給与額は、正社員が中心の一般労働者が35万7332円(同1.9%増)、パートタイム労働者も9万9556円(同1.5%増)となった。残業代などの所定外給与が一般労働者は2万7244円(同7.7%増)、パート労働者も2805円(同15.8%増)と増えた。
コロナ対策の行動制限の解除に伴い、宿泊・サービス業などの人手不足が顕在化しており、パート労働者らの残業増加にかなり依存している状態が続いている。
産業別の伸び率では、「運輸・郵便」が同6.3%増となったほかは一ケタ台前半の伸びで、「電気・ガス」が同0.3%減となるなど、3つの産業ではマイナスだった。
月間総実労働時間は137.2時間(同0.9%減)で3カ月ぶりの減少。常用雇用者数は5166.0万人(同1.1%増)で、パートタイム比率は31.64%(同0.05ポイント増)だった。