厚生労働省が8日発表した毎月勤労統計の9月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたりの現金給与総額は27万5787円(前年同月比2.1%増)で9カ月連続のプラスだった。
しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(2020年=100)は83.6(同1.3%減)で、4月以降6カ月連続のマイナスとなった。物価上昇に対して賃金の上昇が追いつかない局面が続いており、政府が取りまとめている総合経済対策の早期実施が急がれる。
就労形態別の現金給与額は、正社員が中心の一般労働者が35万7039円(同2.4%増)、パートタイム労働者も9万9939円(同3.4%増)となった。7月、8月と同様に、残業代などの所定外給与が一般労働者は2万6002円(同6.6%増)、パート労働者も2753円(同18.7%増)と増えており、名目賃金の伸びが残業代にかなり依存している状態が続いている。
産業別の伸び率では、コロナの行動制限解除を受けた「飲食サービス等」が人手不足を反映して同9.0%増と高い伸びをみせている。それ以外の産業は一ケタ台前半の伸びが多く、「建設業」は同1.8%減だった。
月間総実労働時間は136.9時間(同1.3%増)で2カ月連続の増加。常用雇用者数は5158.2万人(同1.2%増)で、パートタイム比率は31.64%(同0.33ポイント増)だった。