キャッシュレス化の促進や多様な賃金支払いのニーズに対応する「賃金デジタル払い」が、来年4月に解禁される。26日開かれた労働政策審議会労働条件分科会(荒木尚志分科会長)で、関連する省令改正案要綱が「おおむね妥当」と了承された=写真。「労働者の同意」「資金移動業者の指定要件」「指定・指定取り消し」などを中心に課題や懸念点を議論してきた「賃金デジタル払い」は、紆余曲折を経て解禁で着地。厚生労働省は施行後に厳正な事業者指定を実施し、振り込みが開始されるのは来年夏ごろになる見通しだ。
「賃金デジタル払い」は、企業が労働者の希望に応じて、銀行口座を介さずに給与の全部または一部を決済アプリなどに振り込む仕組み。実現には「通貨で直接、労働者に全額支払う」と定める労働基準法第24条の省令改正が必要で、今回、例外で認めている「銀行口座・証券総合口座」に「資金移動業者」を加えた。金融庁に登録しているキャッシュレス決済サービス事業者は85社(2022年9月末現在)あり、大手では「PayPay(ペイペイ)」や「d払い」など。厚労相が安全性などの基準を設けて指定する。
この日の審議会では、厚労省の省令改正の説明を受けて労働者側が「これまで指摘してきた課題の対応は網羅している。ただ、あくまで労基法の施行規則による上乗せの要件であり、本体となる資金決済法に基づいたモニタリングや指導監督は金融庁がしっかり行うということが大前提」と強調。「厚労省と金融庁が制度の狭間を生まないよう緊密に連携してほしい」と要望した。使用者側は「分科会での議論が大いに反映された内容になっている」と改正案要綱を了承したうえで、(1)労使双方への周知徹底(2)審査体制の整備(3)企業の振り込み実務への配慮――の3点を求めた。
政府は...
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