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2022年10月15日

医療費助成前倒しや「登録者証」発行 難病法改正案など束ね法案を閣議決定

 政府は14日、難病患者の医療費助成の前倒しや「登録者証」の発行など盛り込んだ難病法・児童福祉法(小慢法)の改正案をはじめとする福祉関連5法の一括改正案を閣議決定した。現在の臨時国会で成立させ、助成の前倒しは23年10月、登録者証は24年4月の運用開始を目指す。

 難病・小慢患者への医療費助成は現在、患者が申請した日からが対象だが、重症化直後の患者には手続きをする余裕がないことなどから、申請までに治療費がかさむ場合が少なくなかった。改正案では原則1カ月を上限(緊急時は同3カ月)に、重症と診断された日にさかのぼって助成対象とする。

 また、各種福祉・就労支援の円滑利用や、難病データベースへの登録に向けた「登録者証」を発行する。現在は手続きのたびに診断書の提出が必要だった。軽症者を含めて取得でき、本人の同意を得て病状などを国の難病データベースに登録する。現在の重症者登録に加えて軽症者データも増えれば、症状の変化が把握できるようになり、治療研究に役立つと期待される。ただ、マイナンバー連携を原則としており、利用がどこまで増えるかは未知数だ。

 同法改正は15年の難病・小慢法施行から5年をめどに見直す予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大などで議論が中断するなどしたことから、改正法案の提出が大幅に遅れた。

短時間就労障害者も雇用率算定対象に

 このほか、障害者雇用の促進を図るため、現在、企業などの法定雇用率の算定対象となっていない「週10時間以上~20時間未満」の短時間就労者に範囲を広げ、雇用1人について0.5人にカウントする。障害者側からの希望が多いため。対象は身体、知的障害者は重度に限定するが、精神障害者は限定しない。24年4月から。

 改正法案についてはこれらのほか、グループホーム利用者で一人暮らし希望者の退去と支援、精神障害者に対して家族の意向と無関係に自治体が「医療保護入院」を決められる見直しなど、高齢者や障害者の福祉に逆行しかねない規定も含まれており、これらを"束ね法案"とした政府方針に批判も出ている。


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