エン・ジャパンが22日発表した10月からの「最低賃金(最賃)改定」の企業実態調査によると、過半数の55%にあたる企業が賃金引き上げを考えているものの、業種によって格差のあることがわかった。調査は8~13日に実施し、432社の有効回答を集計した。
最賃の引き上げ自体については9割以上が知っているものの、「最賃を下回るので、最賃額まで引き上げる」が24%、「最賃を下回るため、最賃以上に引き上げる」が17%あった一方で、「最賃を上回っているので引き上げない」が36%と最も多く、「最賃を上回っているが、引き上げる」が14%あった。
ただ、業種によって、引き上げ派企業の多いのは「流通・小売り」関連の68%が最も多く、「サービス」関連の62%、「メーカー」の60%が6割を超えているのに対して、「IT・情報処理・ネット」関連は61%、「広告・出版・マスコミ」関連では50%が引き上げない予定で、給与水準の違いをうかがわせた。
ただ、最賃の引き上げが負担になるかどうかにつては、23%が「大いに負担」、41%が「多少は負担」と答え、合わせると64%に達している。その理由は「アルバイト・パート社員が多い」「扶養限度のある社員の勤務時間減」「同業他社との引き上げ競争で採用難度が上昇」などを上げる企業が多かった。
今回の調査では引き上げ幅や引き上げ額については聞いていないが、最近の消費者物価は3%上昇が続く見込みで、賃金をそれ以上引き上げないと実質賃金がマイナスになる可能性が強まっている。