キャッシュレス化の促進や多様な賃金支払いのニーズに対応する「賃金デジタル払い」が、来春にも解禁される見通しとなった。13日開かれた労働政策審議会労働条件分科会(荒木尚志分科会長)で、労使が概ね合意した。厚生労働省は年内にも必要となる省令改正の要綱案を諮問する方針で、指導監督を含む運用体制の整備を進める。「労働者の同意」「資金移動業者の指定要件」「指定・指定取り消し」などを中心に、課題や懸念点の払拭に関する議論を展開してきた「賃金デジタル払い」は、労働者側の強硬な反対で出口が見えない状況だったが、"急転直下"、解禁に向けて道筋がついた。
「賃金デジタル払い」は、企業が労働者の希望に応じて、銀行口座を介さずに給与の全部または一部を決済アプリなどに振り込むことを可能にする仕組み。実現するためには、「通貨で直接、労働者に全額支払う」と定める労働基準法第24条の省令改正が必要で、現在、例外で認めている「銀行」に「資金移動業者」を加えなければならない。金融庁に登録しているキャッシュレス決済サービス事業者は85社(2022年8月末現在)あり、大手では「PayPay(ペイペイ)」や「d払い」など。解禁する場合には厚労相が安全性などの基準を設けて指定する。
厚労省は昨年4月、制度設計案の骨子を同分科会に示したが、労働者側が決済アプリを扱う資金移動業者の安全性などを指摘して導入に強く反発。"冷却期間"を経て、今年3月に1年ぶりに再開していた。政府は閣議決定した成長戦略フォローアップなどで「2022年度内の制度化」を掲げている。
この日は、...
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