パソナ系の日本CHO協会は9日、オンラインの人事戦略フォーラム「ジョブ型雇用/ジョブ型人事~これからの展望」を開いた。日本型雇用システムにほころびが生じ、従来のメンバーシップ型からジョブ型への流れが加速していることを受けたもので、企業の先進事例を交えて議論した。
コンサルティングのコーン・フェリー・ジャパンから柴田彰氏(コンサルティング責任者)が「ジョブ型雇用とジョブ型人事の現在、これから」と出して基調講演。事例紹介として富士通執行役員の平松浩樹氏、第一生命ホールディングス執行役員の山口仁史氏が、それぞれ自社の取り組みを紹介した。
柴田氏は、これまで「ジョブ型雇用」と「ジョブ型人事」は別々に考えなければならないにもかかわらず、一体として考える企業が多かったものの、最近は自社なりに整理し、自社に適した形のジョブ型の仕組みを設計する企業が増えている点を評価。しかし、主に人材登用、配置、採用などの面で従来型とのズレが埋まらず、ジョブ型を生かせない企業の多い実状を指摘した。
平松氏は富士通がIT企業からDX企業に転換するに際して、人事制度も20年度から幹部社員、21年度から一般社員に「ジョブ型人材マネジメント」に基づく制度を導入した経緯を解説し、職責ベースの報酬体系やジョブポスティング制度などを導入した結果、現在は社員の1割ほどがジョブ型に移行したと説明した。山口氏は第一生命が20年7月からジョブ型人事を開始し、新卒採用時からジョブ型の「基幹職層」を育成しており、従来型とジョブ型が"併存"する制度を構築中であることを解説した。
パネルディスカッションではジョブ型の導入にあたって、社員の理解をどうやって得るかに議論が集中。「前向きに対応する社員と不安が先立つ社員に二極化しており、全年代で研修を実施して制度のオープン化を図っている」(平松氏)、「ジョブ型の職務内容をデータベース化し、誰でも見られるようにしている」(山口氏)など、制度の透明化が成否を分けていることを示唆する発言が相次いだ。