労働政策審議会の第177回労働条件分科会(荒木尚志分科会長)は30日、無期転換ルールと労働時間制度について議論した。
無期転換ルールは2012年の改正労働契約法に盛り込まれた雇用安定策の一つで、1社に5年間勤務した有期雇用労働者に無期雇用転換権を付与するもの。今回は8年後の見直し規定に基づき、有識者会議が昨年3月から議論し、今年3月に報告書を公表。それを受けて同分科会で議論しているもの。
報告書は(1)根幹から見直さなければならない状況ではないが、労使双方の情報共有が必要(2)契約更新時に企業側から対象労働者に通知を義務付ける(3)転換前の雇い止めなどは判例などを参照しながら、個別紛争解決制度による助言・指導の活用が適当(4)転換後の労働条件は当初からの無期雇用労働者との均衡考慮が求められることを周知する――などが骨子となっている。
同分科会でも、労使とも基本的に報告書と同じ認識だが、制度がまだ十分広がっていない事実を踏まえ、労使からはこの日も「周知が進んでおらず、制度活用が不十分」「更新後の処遇改善も含めて総合的に取り組む必要がある」「更新後の(期間)上限設定は制度を形骸化させる恐れがあり、設定するなら理由説明を義務化すべきだ」などの意見が相次いだ。
労働時間制度については、裁量労働制が議論の中心に。厚労省が19年11月に実施、発表した「裁量労働制実態調査」結果を基に議論し、調査では制度下で就労している労働者の多くが「労働時間は多い半面、満足度は高い」という結果を踏まえて、使用者側委員からは「労働生産性を上げるためにも、適用業種を拡大すべきだ」との主張が相次いだ。
しかし、...
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