厚生科学審議会の難病対策・小児慢性特定疾病合同委員会(千葉勉委員長)は27日、医療費助成開始時期の前倒しと治療データ登録者を対象に発行する「登録者証」(仮称)について審議し、事務局の厚生労働省案を了承した。いずれも、昨年7月に合同委が出した「見直しに関する意見書」の積み残し案件で、昨年6月以来1年ぶりの開催。これを受けて厚生労働省は改正法案の早期国会提出に向けて作業に入る。
助成の前倒しは、現行では助成「申請時」からが対象になっているが、改正案では「重症化時点」からに前倒しする。医師が診断して臨床調査個人票などを作成するまで、ほぼ1カ月掛かっていることから、前倒し期間を「原則1カ月」とするが、個別事情などを考慮して「最大3カ月」の上限期間を設ける。
「登録者証」は、医療費助成を受けない軽症者なども対象に広くデータを収集するとともに、福祉サービスや就労支援などのサービスを受けやすくするため、自治体が発行する。
出席委員からは、前倒しについて「現場では1カ月と3カ月の線引きが困難で混乱しかねない。厚労省は事例集などのガイドラインを作成してほしい」。「登録者証」について「患者の負担が増えないよう、使い勝手の良い様式にしてほしい」「登録者を増やすには、患者側にメリットを感じさせる工夫が必要」「小慢と難病では病名が変わる場合もあるので、併記できるような様式を」などの注文が相次いだ。