厚生労働省は7日、有識者会議「雇用政策研究会」(樋口美雄座長)で議論された論点整理「コロナ禍の経験を踏まえた、不確実性に強いしなやかな労働市場の構築に向けて」を発表した。「アフターコロナ」に向けた全般的な政策対応について、「しなやかな労働市場」をキーワードに据えた。同研究会は4月から4回開催した。
コロナ禍では(1)労働供給制約とそれに伴う人手不足(2)働き方の多様化(3)デジタル化への対応と労働生産性の向上(4)豊かな人生を支える健康的な職業生活の実現(5)都市部と地方部における地位間格差、などの課題が浮上したと指摘。
これらの課題解決には企業内労働市場の強みをさらに強化するとともに、外部労働市場の機能を活用しながら、持続可能な「しなやかな労働市場」の構築が必要とした。
具体的には、(1)労働者のワーク・エンゲージメント(主体的な熱意)を高め、労働生産性と企業業績の向上につなげる経済の仕組み(2)多様なチャネルを活用した労働者のキャリア形成と企業の人材育成を促進する仕組み(3)ウェル・ビーイング(社会的に満たされた状態)への取り組みが、人材確保と労働供給の増加につながる仕組み(4)労働市場の基盤強化と多様性に即したセーフティーネット(安全網)の構築を通じた最適な資源配分を実現する仕組み――の4項目を挙げている。