厚生労働省は1日、2021年度「個別労働紛争解決制度の施行状況」を発表した。それによると、総合件数は124万2579件(前年度比3.7%減)となり、9%近く増えた前年度から一転、減少した。そのうち民事上の個別紛争相談は28万4139件(同1.9%増)に増えた一方、労働基準法違反が疑われる件数は17万70件(同10.9%減)と大きく減った。
近年の総合件数はリーマン・ショック直後の09年度の約114万件をピークに減少傾向をみせたが、15、16年度と2年連続で上昇に転じ、17年度は再び約110万件に減少。しかし、18年度からは3年連続で上昇し、20年度は約129万件の過去最高を記録した。
これに対して、民事上の相談件数はほぼ一貫して増加が続き、18、19年度と2年連続で過去最高を更新した。20年度は微減となったが、21年度は再び増加して過去最高となった。
民事上の相談件数(延べ35万2914件)のうち、最も多かったのは「いじめ・嫌がらせ」の8万6034件(同8.6%増)で、次いで「自己都合退職」の4万501件(同2.5%増)、「解雇」の3万3189件(同12.3%減)と例年と同じ傾向だった。
「いじめ・嫌がらせ」は過去13年で急増しており、20年度は減少したものの、21年度は再び増加。10連続でトップとなっている。また、20年6月から施行されたパワハラ防止法に基づくパワハラの2万3366件は「法制度の問い合わせ」などに分類され、個別紛争には入っていない。
個別紛争の上位3の解決手段としては、「労働局長による助言・指導」の申し出が8484件(同7.1%減)で2年連続の減少、「紛争調整委員会によるあっせん」申請が3760件(同11.6%減)で3年連続の減少となった。