パーソルホールディングス(HD)が29日発表した物流業界の「2024年問題」に関する実態調査によると、時間外労働の上限規制で直接的な影響を受ける運輸・郵便業では6割の企業が問題を認知しており、半数近くが「人材不足」を今後の課題に考えていることがわかった。
働き方改革に伴う時間外労働の上限規制については、大企業は19年度から、中小企業は20年度から適用されたが、影響の大きい「自動車運転業務」については24年3月まで猶予期間が設けられていることから「2024年問題」と呼ばれている。
「人材不足」は運輸・郵便業以外にも、「電気・ガス・熱供給・水道業」でも35.4%、「製造業」でも28.8%に上り、「対応のためのコスト増」を挙げたのは「製造業」が38.9%で最も高かった(複数解答)。
これらの課題に対して、現在取り組んでいる対策としては、「働き方改革の推進」が32.6%で最も多く、「人員の確保・育成」が22.9%、「システムによる適切な勤怠管理」が19.3%で続いているが、「サービス・商品の値上げ」は10.3%にとどまっている。また、「特になし」も43.4%に上っており、中小企業の場合は51.4%の過半数を占め、取り組みが進んでいないことをうかがわせる。(複数回答)
これについて、同社は「抜本的な対策が講じられなければ、サービス残業や名ばかり管理職など、多くの"抜け道"を生むことにつながりかねない」と警告している。
調査は4月8~11日に実施、全国の運輸・郵便業など4業種に勤務する会社員1000人の回答を集計した。企業規模は従業員30~499人を中小企業としている。