帝国データバンクが8日発表した「企業の価格転嫁動向調査」によると、物価上昇による仕入れコストの上昇に対して、約15%の企業が価格転嫁できず、転嫁できても上昇分の4割余にとどまっていることがわかった。
自社の主要商品・サービスの仕入れコスト上昇分を販売価格に転嫁できているかどうか聞いたところ、73.3%が「できている」と答え、15.3%が「全くできていない」と回答。「できている」企業の場合も、転嫁率の多いのは「5割以上~8割未満」の17.7%、「2割未満」の17.3%、「2割以上~5割未満」の16.6%などで、平均では44.3%となった。仕入れコストの半分以下という計算になる。
転嫁率を業種別にみると、比較的高い業種は「建材・家具、窯業・土石製品卸売」の64.5%、「機械・器具卸売」の55.4%、「飲食料品卸売」の51.6%で、低い業種は「電気機械製造」の38.1%、「飲食料品・飼料製造」の33.6%、「運輸・倉庫」の19.9%だった。
価格転嫁について、「零細企業のため、仕入れ価格の上昇分は100%転嫁しないと維持できない」(家具・建具卸売)と積極的な企業がある一方で、「取引先の了解が得られない」(こん包)、「価格交渉を進めたいが、他社との競合で厳しい」(印刷)といった企業もあった。
調査結果について同社は、「仕入れコストの上昇はとどまる気配がみられず、今回は全額または大部分を転嫁できている企業でも、今後さらなる価格転嫁が必要となる事態も想定され、各社は厳しい舵取りを迫られそうだ」と予想している。
調査は3~6日に実施、1635社の有効回答を集計した。