厚生労働省が30日発表した2021年の労働災害発生状況によると、死者数は867人(前年比65人、8.1%増)と4年ぶりに増加に転じ、休業4日以上の死傷者数も14万9918人(同1万8762人、14.3%増)と大幅に増えた。
死者数は18年から3年連続で最少を更新してきたが、記録はストップ。死傷者は1998年以降の最多となった。このうち、新型コロナウイルスの罹患による労災死者も89人(同71人、同4.9倍)、死傷者は1万9332人(同1万3291人、同3.2倍)に急増した。
死者で最も多かった業種は前年と同じ建設業の288人(同30人、11.6%増)で、次いで第3次産業の241人(同16人、7.1%増)、製造業の137人(同1人、0.7%増)。死傷者では第3次産業が8万454人(同1万3495人、20.2%増)と急増。次いで製造業の2万8605人(同2930人、11.4%増)、陸上貨物運送業の1万6732人(同917人、5.8%増)、建設業の1万6079人(同1102人、7.4%増)といずれも大きく増えた。
事故の類型別では、死者は「墜落、転落」が217人、「はさまれ、巻き込まれ」が135人、「交通事故」が129人の順。死傷者では「転倒」の3万3672人、「墜落・転落」の2万1286人、「動作の反動、無理な動作」の2万777人の順だった。
死傷者を年齢別にみると、「60歳以上」が3万8574人(同3646人、10.4%増)と全体の4分の1を占め、次いで「50~59歳」の3万6576人(同4456人、13.9%増)、「40~49歳」の3万507人(同3418人、12.6%増)と中高年の増加が目立った。
一方、派遣労働者の死者は14人(同6人、75%増)と再び2ケタに増え、死傷者も6164人(同857人、16.1%増)となった。また、外国人労働者の死者は24人(同6人、20%減)だったが、死傷者は5715人(同1033人、22.1%増)と前年に続いて大きく増えた。
労災の急増について厚労省では、21年は新型コロナが2年目に入り、社会福祉施設などでの労災が増えたうえ、経済が徐々に回復して再び人手不足となる産業が多く、安全面の確保に手が回らなかった企業が多かったのも一因と推測している。