厚生労働省が24日発表した2021年度毎月勤労統計調査(従業員5人以上)によると、月平均の現金給与総額は32万604円(前年度比0.7%増)となり、3年ぶりに前年を上回った。このうち、正社員が中心の一般労働者は42万1092円(同1.0%増)、パートタイム労働者は9万9971円(同0.9%増)とどちらも上回った。物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)も100.6(同0.5%増)と5年ぶりのプラスとなった。
給与額のプラス要因は、基本給にあたる所定内給与が24万6245円(同0.4%増)と堅調だったうえ、コロナ禍で大きく減少していた残業代などの所定外給与が1万8226円(同7.1%増)と大きく伸びたこと。しかし、20年度が同13.3%減だったことを考慮すると、コロナ前までの水準に回復したとは言えない。
残業が増えたことから、月間実労働時間は136.0時間(同1.0%増)と10年ぶりに増加した。期末の常用雇用者数は5171.4万人(同1.1%増)で、パートタイム比率は31.31%(同0.30ポイント増)と2年ぶりに上昇した。
産業別で最も高かったのは「電気・ガス」の56万9885円(同0.0%)で、次いで「情報通信」の48万7501円(同0.7%減)、「金融・保険」の47万7900円(同0.6%減)、「学術研究」の47万3242円(同0.5%増)など。コロナの直撃を受けた「飲食サービス」は最低の11万9983円(同3.3%増)、「生活関連サービス」も20万8413円(同1.2%増)だったが、ようやくプラスとなった。16産業のうち、プラスは11産業、マイナスは4産業だった。
一方、パートの時給(所定内給与)は1228円(同0.6%増)で、調査開始の11年度以来10年連続で上昇を続け、過去最高となった。