リクルートワークス研究所が26日発表した23年3月卒の大卒求人倍率(大学院卒を含む)は1.58倍(前年比0.08ポイント増)となった。昨年は新型コロナウイルスの感染長期化による経済停滞で、倍率は前年比0.3ポイント減の1.50倍に落ち込んだ。その後は製造業を中心に景気は回復傾向にあることから、企業の採用意欲も回復しているが、コロナ前の1.6倍以上の水準には戻っていない。
企業の求人総数は70.7万人(同3.1万人増)と4.5%増えている一方、就職希望者数は44.9万人(同0.1万人減)と0.3%減少している。
企業規模別の倍率は、従業員300人未満の中小企業が5.31倍(同0.03ポイント増)なのに対して、それ以外はかなり低い。同300~999人では1.12倍(同0.14ポイント増)、同1000~4999人では1.11倍(同0.22ポイント増)で1倍を超えているが、同5000人以上の大企業は0.37倍(同0.04ポイント減)となり、学生の安定志向がさらに強まった結果、さらに「狭き門」となっている。
業種別では前年と同様に「流通業」の7.77倍(同0.35ポイント減)が最も高く、「建設業」も7.70倍(同1.30ポイント増)と飛び抜けて高いが、「製造業」は1.81倍(同0.10ポイント増)程度。逆に、「サービス・情報業」は0.33倍(同0.02ポイント増)、「金融業」も0.22倍(同0.01ポイント増)と大きな動きはなく、買い手市場が続いている。
調査は、対企業が1月27日~3月4日に、全国の従業員5人以上の4154社の回答を集計。対学生は2月1日~7日に「リクナビ」会員の大学生と大学院生1433人の回答を集計。それぞれから、全体数を推計した。