厚生労働省が26日発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント上昇の1.22倍となった。1月から3カ月連続の上昇で、昨年5月以降、2度の横ばいをはさんで11カ月連続の上昇基調が続いており、15年央と同程度の水準になっている。
企業側の有効求人数約251万人(前年同月比11.7%増)に対して、有効求職者数は約200万人(同0.2%増)と求人の伸びが高く、倍率を押し上げている。
都道府県別(就業地別)では福井県の2.05倍が最高で、最低は沖縄県の0.85倍。2月と同様に東京都、神奈川県、大阪府、沖縄県の4都府県だけが1倍を下回っている。
新規求人倍率は2.16倍で前月比0.05ポイントの低下となった。新規求人数(原数値)は前年同月比7.5%増で、産業別では製造業が同22.0%増、情報通信業が同16.9%増、運輸・郵便業が同12.6%増と高い伸びが続いており、2月と同様に教育・学習支援業を除く10産業でプラスとなった。
また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント増の0.94倍となった。
この結果、2021年度の年間有効求人倍率は1.16倍(前年度比0.06ポイント上昇)と3年ぶりの上昇となった。人手不足によって18年度は1.62倍のピークを付けたが、20年度は新型コロナウイルスの感染拡大で1.10倍に急落した。しかし、製造業などの持ち直しや"コロナ慣れ"によって企業活動も回復し、再び人手不足感が高まっている。有効求人数は同9.5%増、有効求職者数は同3.9%増となり、求人は22%も落ち込んだ20年度から一転、増加に転じた。
3月完全失業率は2.6%に低下、「コロナ前」の水準へ
総務省が26日発表した3月の就業者数は6684万人で、前年同月比11万人減、6カ月連続の減少となった。完全失業者は180万人と同9万人の減少で、9カ月連続の減少となった。
この結果、完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント低下の2.6%となり、コロナ禍の影響が出る直前の20年4月と同じ水準となった。男女別では男性が2.7%、女性が2.4%で、男性は前月から0.3ポイント低下、女性は同水準だった。
形態別雇用者数では役員を除く雇用者5677万人のうち、正規従業員は3599万人で前年同月より7万人増、非正規従業員も2078万人で同14万人の増加となった。非正規率は36.6%。
非正規の内訳はパートが1008万人(同24万人減)と減少したが、アルバイトが448万人(同8万人増)、契約が276万人(同13万人増)、派遣が142万人(同5万人増)、嘱託が117万人(同2万人増)といずれも増えた。
また、3月の休業者は243万人で前月比1万人増、前年同月比22万人増の"高止まり"状態にあり、3カ月連続で200万人を超えている。
この結果、21年度平均では就業者が6706万人(前年度比4万人増)、完全失業者は191万人(同8万人減)で、完全失業率は2.8%(同0.1ポイント低下)となった。20年度は11年ぶりに悪化したが、わずか1年で再び改善した。休業者も211万人(同51万人減)となったが、コロナ禍の影響を強く受けた宿泊・飲食サービス業で25万人、卸・小売業で24万人が休業した。
また、雇用されている労働者のうち、正規従業員は3594万人(同19万人増)、非正規従業員は2077万人(同3万人増)となり、どちらも増加に転じた。とりわけ、正規では女性が1235万人(同16万人増)、非正規でも女性が1422万人(同7万人増)となり、どちらも2年連続で増えているのが目立った。