パソナ系の日本CHO協会主催のオンライン講座「イキイキと活躍する"リエゾンシニア"が語るセカンドキャリア」が13日開かれた。リエゾンはフランス語の「つなぐ」の意味。
定年後研究所の池口武志理事所長が中高年社員の「キャリア自律」について基調講演し、終身雇用の見直しや働き方の多様化などが進む中、会社員像も年齢を軸にした「会社依存型」から人物を軸にした「自律型」に移行中。しかし、「キャリア自律」に対する中高年社員の戸惑いや不安も根強く、池口氏は企業によるキャリア研修や社外体験などの環境整備の必要性を強調した。
「キャリア自律」を実現したロールモデルとして、池口氏が推薦した新潟県魚沼市地域おこしアドバイザーの渡邊泰治氏▽研修会社「ウインズ」代表の西川由喜氏▽日本NPOセンターの本田恭助氏の3人によるトークセッションが行われた。渡邊氏は電通を早期退職、西川氏は大手ハウスメーカー時代からのビジネス研修を基に独立、本田氏は花王で定年となり、社内募集で同センターに出向中だ。
渡邊氏は「会社の外側の世界を知ることが重要で、地方から東京を見る目が変わった」、西川氏は「独立後は自分で決めることが増え、多くの人のサポートがあった」、本田氏は「会社にいれば接触機会のなかった重度障害者ら多様な人たちとの出会いによって価値観が変わった」と感想を述べた。
また、キャリア自律を促すため、企業には「社員が"外を見る"環境を作ってほしい」、社員には「現役時の"助走期間"から外を体験し、社外ネットワークを作るといい」といった共通のアドバイスがあった。
同協会の調査によると、大多数の企業は「60歳定年、65歳雇用義務」を実行しているものの、その先まで見据えた「キャリア自律」の醸成までは手が回らず、個々の社員の努力に事実上任せているのが実情だ。