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2022年3月31日

コロナ下でも人数、売上高とも増加 厚労省の20年度派遣事業報告

 厚生労働省が31日発表した2020年度労働者派遣事業報告書(4万2065事業所、速報)によると、派遣労働者数は192万6487人(前年度比4.9%増)と増えた。内訳は無期派遣が71万2896人(同18.0%増)、有期派遣が121万3591人(同1.5%減)、登録者数は685万3094人(同10.8%増)だった。派遣先件数は75万959件(同7.6%増)、売上高は8兆6209億円(同9.6%増)となり、2年連続の増加となった。

 派遣料金(8時間換算)は平均2万4203円(同2.4%増)で、内訳は無期派遣が2万5270円(同2.0%増)、有期派遣が2万8円(同3.0%増)。派遣労働者の賃金(同)も平均1万5590円(同2.3%増)で、同様に無期が1万6157円(同1.9%増)、有期が1万3232円(同3.1%増)で、どちらも伸びた。

 19年度は前年度の労働者派遣法の改正の影響が一巡し、売上高は2割以上伸びた。20年は2月ごろから新型コロナウイルスの感染が急拡大し、多くの企業がテレワークの実施や非正規雇用の縮小に動いたが、政府が雇用調整助成金の支給要件を大幅緩和するなどして、企業側に派遣労働者を含めて雇用維持を強く働き掛けた。派遣の場合、テレワークなどの職種向けが多いこともあって、企業の雇用意欲は衰えず、中途採用の減少で市場が大幅ダウンした転職と対照的な動きをみせた。

 改正法による雇用安定措置については、対象労働者108万3024人(同0.7%減)のうち、第1号(派遣先への直接雇用)を講じた人数は6万7136人(同7.8%減)で実際に雇用されたのは2万9305人(同7.3%減)。第2号(別の派遣先)は40万6128人(同26.4%減)、第3号(派遣元での無期雇用)は1万5289人(同30.4%減)、その他は5万9431人(同19.8%増)となり、第2号、3号が大きく減ったのが目立つ。

 一方、紹介予定派遣で派遣された労働者は2万6314人(同15.7%減)で、そのうち派遣先に雇用されたのは6割近い1万5333人(同6.1%減)。いずれも減少傾向が止まらず、制度の形がい化がさらに鮮明になっている。

21年6月時点の派遣労働者、8%増の169万人

 一方、厚労省が同日発表した2021年6月1日時点の労働者派遣事業報告(速報)によると、派遣事業所は4万2448事業所(前年比1.1%増)、派遣労働者数は168万6697人(同8.0%増)だった。そのうち、無期雇用が67万6861人(同10.8%増)、有期雇用が100万9836人(同6.1%増)となり、無期、有期ともに増えた。

 このうち、製造派遣は36万1123人(同15.9%増)で、内訳は無期雇用が13万7334人(同18.7%増)、有期雇用が22万3789人(同14.2%増)。日雇い派遣は3万259人(同23.0%増)だった。

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