厚生労働省は25日、2021年「賃金構造基本統計調査」概況を発表した。それによると、平均賃金は30万7400円(前年比0.1%減)となり、16年の横ばいをはさんで8年ぶりに減少した。
男女別では男性が33万7200円(同0.5%減)、女性が25万3600円(同0.8%増)となり、男性は減少したが、女性は過去最高を更新。男女間の賃金格差(男性=100)は75.2で前年から0.9ポイント上昇、比較可能な1976年以降の最小格差となった。
雇用形態別では、正社員が32万3400円(同0.2%減、42.3歳、勤続12.8年)、非正規社員が21万6700円(同0.9%増、49.6歳、勤続9.5年)となり、非正規が増加した。両者の賃金格差(正規=100)も67.0(同0.3ポイント増)に縮小した。
産業別で最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道」の41万9700円で、「学術研究、専門・技術サービス」が38万6900円で続いている。逆に、最も低いのは「宿泊、飲食サービス」の25万7600円だった。
短時間労働者の時給は1384円(同2.0%減)と大きく低下。男女別では男性が1631円(同1.6%減)、女性も1290円(同2.3%減)と減少し、コロナ禍が非正規労働者にしわ寄せされている実態をうかがわせた。
一方、外国人労働者の賃金は22万8100円(同4.6%増、32.7歳、勤続3.4年)で、資格別では「専門・技術」が32万6500円(同8.0%増)で最も高く、「特定技能」が19万4900円(同11.6%増)と大きく伸びた半面、「技能実習」は16万4100円(同1.5%増)にとどまった。
同調査は毎年6月分の賃金などについて7月に実施。今回は全国7万8474事業所を対象に実施し、そのうち10人以上の常用労働者を雇用する4万9122事業所から有効回答を得た。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対象数の減少などがあり、厚労省は昨年と同様に「比較には注意が必要」としている。