帝国データバンクが14日発表した「雇用動向に関する企業の意識調査」によると、2022年に正社員の採用予定のある企業は6割を超え、4年ぶりに比率が上昇し、18年度以来の水準に回復していることがわかった。新型コロナウイルスに対する企業の"耐性"が強まり、人手不足が再び顕在化しているため、とみられる。
22年度の正社員採用について、「増加する」は25.5%(前年比5.5ポイント増)、「変わらない」は29.8%(同3.2ポイント増)、「減少する」は6.9%(同1.8ポイント減)で、増減合わせて採用予定のある企業は計62.2%(同6.9ポイント増)となった。コロナ前の18年度の65.9%以来、3年連続で比率は下がっていたが、4年ぶりに増加に転じた。「増加する」企業の比率も4年ぶりに増加した。「採用予定はない」は27.4%(同5.1ポイント減)だった。
増加予定の理由は「新拠点の開設」(建設機械賃貸)、「外国人実習生の減少」(製缶板金)、「社員の高齢化と世代交代」(鉄骨工事)、「ドライバー不足と2024年問題」(貨物自動車運送)など。
また、非正規社員についても、採用が「増加する」企業の比率は12.5%(同4.3ポイント増)、「変わらない」は28.5%(同6.6ポイント増)、「減少する」は5.3%(同1.4ポイント減)となり、採用予定企業は46.3%(同9.5ポイント増)とやはり4年ぶりの増加に転じた。ただ、「採用予定はない」が41.1%(同7.1ポイント減)あり、正社員に比べると比率はかなり高い。採用予定のある業種は飲食店、教育サービス、商品小売りなど、個人消費関連で高くなっている。
調査結果について同社は、「今後はウクライナ情勢や新型コロナの影響を受け、原油や原材料価格の上昇が一段と進むとみられ、国内景気や生産活動が大きく下押しされれば、雇用動向も再び落ち込むと懸念される」と警戒している。
調査は2月14~28日に実施、全国2万4213社のうち1万1562社から有効回答を得た。回答率は47.8%。