短時間・単発の自由で効率的な働き方が広がりをみせる中、働く人と雇用主をマッチングする「プラットフォーマー」の事業者大手が、「一般社団法人 スポットワーク協会」を立ち上げる。多様化する雇用仲介の「新形態サービス」事業者として、労働者保護や適正な就業管理、プラットフォーマーの適正化などを推進。業界を取り巻く課題と向き合い、就労環境の保全と健全な市場成長を目指す。2月17日に設立総会を開き、理事長に米田光宏氏(ツナググループ・ホールディングス社長)が就任する運びだ。
『スペシャルコンテンツ』では、2月14日から米田光宏理事長のインタビュー記事を掲載します。
AIやITなどの進化に伴い、雇用仲介サービスには職業安定法に位置づけられた職業紹介や既存の求人メディア以外にも、求人情報を集約化するアグリゲーターや人材データベース、SNS、スポットマッチング、クラウドソーシングなど、伝統的なイメージを超える多様なサービスが台頭。厚生労働省は、こうした「新形態サービス」の実態を把握して的確な雇用政策に反映させようと、職安法上の募集情報等提供事業者(求人メディア・アプリ)の対象範囲拡大や「届け出制」の導入などを盛り込んだ職安法改正案を今国会に提出している。
こうした動きに呼応する形で、新たな事業者団体が発足する。スポットワークのニーズはコロナ禍の中で高まっており、同協会の試算によると、コロナ前に300万人弱だったスポットワーカーは、2025年に500万人を超える見通し。スポットワークには、短期の雇用契約を結ぶ「雇用型」と、雇用契約を結ばない「業務委託型」に大別されるが、同協会は当面、「雇用型」に課題意識を持って活動し、将来的にフードデリバリーなどのギグワークの職場保全なども視野に入れていく考えだ。
協会発足時の会員企業で活動の外郭を固めながら、発信力を強化する方針。理事には大手4社の代表らが参画するほか、労働政策審議会前会長の鎌田耕一氏も就任する予定だ。
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