多種多様に進化する雇用仲介サービスのあり方を議論してきた労働政策審議会労働力需給制度部会(山川隆一部会長)は8日、職業安定法上の募集情報等提供事業者(求人メディア)の対象範囲拡大や「届け出制」の導入などを盛り込んだ報告書を取りまとめた=写真。同日開かれた上級審の職業安定分科会で了承され、後藤茂之厚生労働相に建議した。厚生労働省は改正法案の作成に入り、次回の同部会に改正案要綱を諮問、年明けの通常国会に提出したい考えだ。
同部会は、有識者研究会(1月~7月まで全17回開催)の報告書をたたき台に、8月30日から「雇用仲介のあり方」を審議し、関係する事業者団体からのヒアリングも織り交ぜて、丁寧に議論を展開。(1)新たな形態も含めた雇用仲介事業者を需給調整機能の一翼を担うものとして位置づけ、官民の連携を進めていくことをどう考えるか(2)特に、募集情報等提供事業者の位置づけと役割をどう考えるか(3)優良な雇用仲介事業の認定についてどう考えるか(4)求職者保護の観点から、募集情報の的確性や個人情報の取り扱い、苦情への対応をどう考えるか――の4つの論点で各論を掘り下げてきた。
AIやITなどの進化に伴い、雇用の"仲介的サービス"には職安法に位置づけられた職業紹介や求人メディア以外にも、求人情報を集約化するアグリゲーターや人材データベース、SNS、スポットマッチング、クラウドソーシングなど、伝統的なイメージを超える多様なサービスが存在。入職経路として若者を中心に活用が広がっており、こうした「新形態サービス」の実態把握は的確な雇用政策を打ち出すうえで欠くことのできない環境になっていた。
このテーマで全8回の会合を重ねた同部会の報告書(下記資料参照)では、基本的な考え方として「イノベーションを阻害しないことに留意しつつ、雇用仲介事業者が依拠すべきルールを明確化」としたうえで、「新形態サービスを職安法上の募集情報等提供事業に含める」とし、その範囲として「ウェブ上を巡回し求人データを自動的に収集(クローリング)して提供する事業者も入る」と整理した。改正後は、従来までの指針に基づく助言・指導などに加え、改善命令や停止命令、立ち入り検査ができる法令違反に格上げする。
その職安法上の新たな求人メディアの範囲は4類型に整理。(1)依頼を受けて労働者の募集に関する情報を提供する事業者(2)依頼を受けて労働者になろうとする人に関する情報を提供する事業者(3)自ら収集した労働者の募集に関する情報を提供する事業者(4)自ら収集した労働者になろうとする人に関する情報を提供する事業者――とした。(1)と(2)は一部が新たに対象、(3)と(4)はすべて新たな対象となり、これまでよりも大きく範囲が広がる。
このほか、「新形態サービス」などの実態把握の手法として「届け出制」を導入。届け出に必要な...
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