厚生労働省が３０日発表した１０月の有効求人倍率（季節調整値）は前月比０．０１ポイント低下の１．１５倍となり、２カ月ぶりに前月を下回った。昨年９、１０月の１．０４倍を底に徐々に上昇を続け、今年６月には１．１倍台を回復したが、その後は一進一退の動きとなっている。有効求人数は同０．５％増、有効求職者数は同０．６％増となり、コロナの沈静化を見据えた企業の求人が４カ月連続で増えているが、コロナ前までは戻っていない。
都道府県別（就業地別）の倍率では前月と同様に福井県の１．９３倍が最高で、最低は沖縄県の０．８０倍。新型コロナウイルスの感染者が多かった東京都、大阪府など５都府県では依然として１倍を下回っているが、福岡県は１倍台に再回復した。
先行指標となる新規求人倍率は２．０８倍で前月比０．０２ポイント下回った。新規求人数（原数値）は前年同月比８．７％増となり、７カ月連続で前年を上回った。業種別では製造業の同３５．９％増、教育・学習支援業の同１２．８％増、情報通信業の同１１．１％増をはじめ、マイナス傾向が続いていた宿泊・飲食サービス業は同８．２％増、生活関連サービス・娯楽業も同９．３％増とプラスに転じ、コロナ規制の緩和を見据えた動きとなっている。
また、正社員の有効求人倍率（季節調整値）は前月比０．０２ポイント低下の０．８９倍だった。
１０月完全失業率は２．７％、３カ月ぶりに低下
総務省が３０日発表した１０月の就業者数は６６５９万人で、前年同月比３５万人減、２カ月連続の減少となった。完全失業者は１８３万人と同３２万人の減少で、４カ月連続で減少した。
この結果、完全失業率（季節調整値）は前月比０．１ポイント低下の２．７％となり、３カ月ぶりに改善した。今年に入って３％台から２％減台に低下し、６月以降は２．９～２．８％で推移していたが、コロナ後を見据えた雇用環境の改善を受けて需給が少しタイトになっている。男女別では男性が２．８％、女性が２．５％で、男女とも同０．１ポイント低下した。
形態別雇用者数では役員を除く雇用者５６３６万人のうち、正社員は３５６６万人で前年同月より３１万人増えたが、非正規社員は２０７１万人で同４０万人減った。正規は１７カ月連続の増加、非正規は３カ月連続の減少となった。非正規率は前月比０．２ポイント増の３６．７％となった。
非正規の内訳はパートが１０２１万人（同３９万人減）、アルバイトが４３１万人（同１７万人減）の減少だったが、契約社員は２７９万人（同６万人増）、派遣社員が１４４万人（同９万人増）、嘱託社員が１１５万人（同１万人増）に増えた。
また、１０月の休業者は１６４万人で、前月比４４万人減、前年同月比６万人減となった。８、９月と宿泊・飲食・サービス、医療・福祉、卸売・小売などの対面型サービス業を中心に休業者が増えていたが、１０月は３カ月ぶりに減少に転じている。
