帝国データバンクが16日発表した企業の賃上げ調査によると、政府が賃上げ企業の税制優遇強化を検討していることについて、「優遇措置に関わらず賃上げする」と回答した企業は48.6%に上った。「現状では賃上げできないが、優遇措置が大きくなれば検討」が22.3%、「現状ではできないが、優遇措置が大きくなれば賃上げする」が8.5%あった。一方、「優遇措置に関わらず賃上げできない」が8.1%あった。
ただ、企業規模によって考えが異なり、「優遇措置に関わらず賃上げする」と答えた企業のうち、大企業が53.6%だったのに比べ、中小企業は47.9%、小規模企業は37.6%にとどまっている。
岸田新政権は22年度税制改正で、控除率の引き上げなど賃上げ企業に対する税制優遇措置をさらに拡大することを検討しているが、コロナ禍が収まってきていることで企業の賃上げ意欲が強まっている半面、ここに来て原材料価格の高騰などのマイナス要因もあることから、仮に賃上げしても小幅な賃上げ率にとどまる可能性もあり、来年の春闘などで労使の攻防が強まりそうだ。
調査は12~15日に実施し、有効回答1651社分を集計した。企業規模は中小企業基本法に基づき、製造業の場合は従業員300人超などを大企業、300人以下などを中小企業、20人以下を小規模企業に分類している。