厚生労働省が8日発表した2020年転職者実態調査によると、企業に在籍する一般労働者に占める転職者の比率は7.2%(前回の15年比0.7ポイント減)で、転職者のうち無期雇用は78.6%(同1.3ポイント増)、1年以上の有期雇用が21.4%(同1.3ポイント減)と無期雇用の比率が少し増えた。
転職者比率の高い業種は「その他サービス業」の11.1%が最高で、「宿泊・飲食サービス業」が10.0%、「不動産、物品賃貸業」が9.9%で続いている。企業規模が小さくなるほど転職者比率が高くなり、「1000人以上」では4.3%だったが、「5~29人」では8.3%だった。
個人調査では、転職直前の勤務先の勤務期間は「2年以上~5年未満」が26.9%(同0.3ポイント減)で最も高く、「10年以上」が19.7%(同1.7ポイント増)、「5年以上~10年未満」が17.7%(同1.0ポイント減)の順。「5年未満」を足し合わせると60%を超える。また、「10年未満」ではすべて女性の比率が男性を上回っている。
転職前後の賃金の増減については「増えた」が39.0%(同1.2ポイント減)、「減った」が40.1%(同4.0ポイント増)、「変わらない」が20.2%(同2.0ポイント減)となり、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が賃金に表れているようだ。
転職理由は「自己都合」が76.6%(同1.1ポイント増)を占めたが、その理由については「賃金以外の労働条件がよくなかったから」が28.2%で最も多く、「満足できる仕事内容でなかったから」が26.0%、「賃金が低かったから」が23.8%だった(複数回答)。
今後の転職希望では「今の職場で働きたい」が52.7%の過半数だったが、「わからない」が24.9%、「機会があれば転職したい」も21.0%あり、年齢が上がるほど転職志向が強まっている。
調査は20年10月1日時点の状況について11月~21年1月に実施。常用労働者5人以上の9149事業所と5530人の個人から有効回答を得た。