厚生労働省が29日発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント上昇の1.16倍となり、2カ月ぶりに前月を上回った。8月は3カ月ぶりに下回ったが、上昇基調に大きな変化はなく、昨年9、10月の1.04倍を底に徐々に上昇し続けている。有効求人数は同0.9%増、有効求職者数は同0.2%減となり、コロナの沈静化を見据えた企業の求人が3カ月連続で増えている。
都道府県別(就業地別)の倍率では前月と同様に福井県の1.98倍が最高で、最低は沖縄県の0.80倍。新型コロナウイルスの感染者が多い東京都、大阪府など6都府県では依然として1倍を下回っている。
先行指標となる新規求人倍率は2.10倍で前月比0.13ポイント上回った。新規求人数(原数値)は前年同月比6.6%増となり、6カ月連続で前年を上回った。業種別では製造業の同32.4%増、その他サービス業の同14.3%増、情報通信業の同9.0%増などで増えた一方、宿泊・飲食サービス業は同7.5%減、生活関連サービス・娯楽業が同2.6%減と需要は減ったまま。
また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント低下の0.91倍だった。
9月完全失業率は横ばいの2.8%、休業者は2カ月連続増
総務省が29日発表した9月の就業者数は6679万人で、前年同月比10万人減、6カ月ぶりの減少となった。完全失業者は192万人と同18万人の減少で、3カ月連続で減少した。
この結果、完全失業率(季節調整値)は前月と同じ2.8%となった。昨年まで3%台が続いていたが、今年に入って2%台に低下し、6月以降は2.9~2.8%で推移している。男女別では男性が2.9%、女性が2.6%で、男性は同0.2ポイント低下、女性は同0.1ポイント上昇した。
形態別雇用者数では役員を除く雇用者5638万人のうち、正社員は3579万人で前年同月より50万人増えたが、非正規社員は2059万人で同20万人減った。正規は16カ月連続の増加、非正規は2カ月連続の減少となった。非正規率は前月と同じ36.5%だった。
非正規の内訳はパートが1019万人(同20万人減)、アルバイトが437万人(同8万人減)、契約社員が282万人(同15万人増)、派遣社員が139万人(同4万人減)、嘱託社員が110万人(同1万人増)となり、パートの減少と契約の増加が目立った。
また、9月の休業者は208万人で、前月比40万人減、前年同月比11万人増となった。8月から前年を上回っており、宿泊・飲食・サービス、医療・福祉、卸売・小売などの対面型サービス業を中心に休業者が増えている。